真人間を目指すためのログ

その日したこと、観たもの、読んだもの等の記録

ハルヒリバイバル

エンドレスエイトの驚愕』三浦俊彦 いやいや噂どおりすごい本で、この本に仕掛けられたループに従い続けて二回ほど通読した。現在は第三版であり売れているようで非常に喜ばしい。おかげで世間でもハルヒリバイバルが来ているように見受けられる。この著作の存在がエンドレスエイトというよりはハルヒという作品そのものの評価を押し上げたのである。

内容についていくつか書きたいことがあるので、あとで書く予定。ちなみに三浦俊彦のことは『多宇宙と輪廻転生―人間原理のパラドクス』で知っていて、様相論理の本も前に買ったがまだ読み終わっていないので、再挑戦する予定。

個人的にもハルヒリバイバルが来て、アニメを全話と消失を見直してみた。エンドレスエイトもそれなりに楽しめた。どういった見方をしたかというと、各回の演出の違いに注目するという、ベタでメタな見方ではある。三浦先生はエンドレスエイトそのものは見る必要はないとしているが、見て楽しもうとしたらメタ的に演出に注目するしかないのではないか。ちなみにエンドレスエイトIVのクオリティが抜き出ている。と思った。Vの最後の時計の演出もいいが。

ハルヒ小説の思い出についてを若干。アニメ1話が当時話題になり、素人が作ったような映像をいきなり流すという特異な演出に驚き、それから小説を買ってはまってしまったのだった。書店で文庫本を買うとその足でファミレスに入って夜通し読む、ということをしていたのである。思えば私がシリーズ物の小説を夢中になって読んだ経験はあとにも先にもハルヒだけだったのだ。

ハルヒには黙示録的なところがある、というのが当時思った感想だった。「私はここにいる」という言葉が出てきたときには驚いた。何かすごいことを語ろうとしているのではないかと。私にはこの小説は青春SF物語という表面上の見方を超え、何かSpiritualな事象を語ろうとしているかに見えたのである。

しかしその後原作は停滞、続編が全く出なくなってしまった。驚愕の後編が出たときにはすぐ買ったが、もはやハルヒ熱も冷め内容については残念に思ってしまった。それまで作者本人が夢中になって楽しんで書いていたのが、途轍もなく努力して苦しんで書いている様が文章からありありと伺えたのである。内容に触れると閉鎖空間の「神人」がどのキャラをだったか忘れたが手のひらで受け止めるという描写があったと思うが、もはや(谷川流の)内面の衝動は充足してしまい物語を続ける気力はなくなってしまったのだろうかと思ったのだった。

だが「エンドレスエイトの驚愕」はもう一度驚愕を再読する機会を与えてくれたのだった。もはやダンボールにしまったままどこに行ったか探さないと見つからないが、憂鬱から全部読み直す予定である。驚愕に対する評価は変わるだろうか。

ちなみに国会図書館に行く機会があったので『あてずっぽナンバーズ』と最新作の「七不思議オーバータイム」を読んできた。キョン諧謔とユーモアは変わらずにキレキレで、この文章がハルヒの芸術性を押し上げていることを再確認した。とにかく続編が出たことは誠に喜ぶべきことであり、完結までエンドレスエイトの600何十年ほどにはかからないことを祈りながら、続きを待つしかない。