真人間を目指すためのログ

その日したこと、観たもの、読んだもの等の記録

ホンダ ジャイロキャノピーの思い出

COVID-19の影響で車は売れてないが、バイクのほうは売れているというのは本当だろうか。人の密を避けるためということで、売れているのはやはり原付の50cc~125cc帯らしい。ヤフオクでちょくちょくオートバイ車体のカテゴリを見ているのだが確かにあの車種が以前より妙に高騰して台数も出ていたのである。ジャイロキャノピーである。あの「ピザ屋のバイク」である。

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今でもピザ屋の宅配で使われているのだろうが、ここのところは「銀のさら」かガストの宅配バイクで見ることが多い気がする。地元のガストでの宅配は車でやっているようでキャノピーが走っているところはほとんど見ないが、ガストの店舗にキャノピーが並べられているところは結構ある。でこのキャノピーがヤフオクではかなりの人気車種になっていて、商業用で使われたものが払い下げられてヤフオクで売られるという流れのようである。商業用だけに酷使され、何万キロと走った車体も多い。だが個人でキャノピーに乗ってみたいという人は結構いるようで、特に今は電車を避けて通勤用にと考える人もいるかもしれない。キャノピーには確かに独特の魅力があり、タイヤ幅を広げる改造をすれば青いナンバーがもらえてミニカー登録も可能で、50cc原付の制限を超えることができるのも利点だ。
実はこのジャイロキャノピー、以前私も欲しくなりヤフオクでン万円で買ってしまったことがある。TA02中期型の、2stキャノピーである。それで直接引き取りにいったのだが、場所は長野県の伊那市で、長野は新潟の隣県なのに微妙に遠い。置いてあったのはリサイクルショップで、どこかの家の車庫から拾ってきたものらしい。それで自走で帰ったのだが、やはり死ぬほど苦労したのだった。走行していたらすぐにエンスト。その後はなかなか再始動できない。仕方ないのでダイソーで工具を買い、キャブレターの調整をすることになった。しかし直らず、スロットルを開けると詰まったように失速するし、しばらく走るとやはりエンストする。そうなると何度キックしてもエンジンはかからず、再始動にはかなりの時間を要するのである。もう駅前の駐輪場に放置してあとで取りに来ようかと思った。夜になり、長野市に向かう途中の国道19号の山中の家の前で止まった時は家の人に救援を求めようかと考えたが、それはせず材木が置いてあるようなところでしばし野宿したのだった。そしてまだ夜が明ける前からまた走り出すことにし、キャノピーのサイドミラーを見ながら暗い中どうにかコンタクトレンズをはめたのであった。しかし一日たって状態が改善するはずもなし、もうどうにもならないのでトンネルを通るときなど重い車体を押しながら歩いていったりした。朝方ガソリンスタンドの前で工具を使い燃料ポンプなどを一生懸命調べていたが、それで治るはずもなかった。どうにか長野市まで行き、長野市にはホンダドリームというホンダのバイクディーラーがあるのでそこに持っていこうかと考えたが、持っていけばいいのに金をケチったせいなのか、あまりにも頭が悪すぎてそうはしなかったのである。ガストで休憩に入った時は新しい4stのキャノピーがあって羨ましい交換してくれという思いであった。その後はまたダイソーに赴き針金を買ってマフラーを突いたりしたが、直らなかった。抜けが悪いのかと思ってマフラーのバッフルを外していたのでそれなりにはうるさく、傍から見て異様なバイクであったはずである。それから長野市のネカフェで一泊したはずだ。その後のルートは国道292と18号とでどちらかを選ぶ必要があったが、292にほうは山道が少しきついということで18号ルートを取った。そして幾度となくエンストしながらも、どうにか自走で家に着くことができたのだった。
それほどの苦行をしてまで持ち帰ったのだが、しかしその後も地獄は続いたのであった。ひたすらパーツを変え試行錯誤したもののどうやってもエンストが直らないのである。エンジンがかかる三要素は「よい火花」「よい混合気」「よい圧縮」で、今思えばCDIやらキャブやらは変えていたが内燃機関は見ていなくとっとと圧縮をチェックしておけばよかったと思うが、開けるのが面倒だったのである。2stのヘッドなんて開けるのは簡単なのに。ということでやる気を失って放置プレイが続き、だが車庫に置いておいてもデカくて邪魔なだけなのでなんとかとまた整備しようとしたが、直ったと思ってもまたおかしくなるし我慢の限界がきてもうやってられんとあきらめて結局ヤフオクで売り出したのだった。買ったときと落札された金額の差額だけならそれほどの損失でもないが、パーツ代とかけた時間を考えれば苦行・時間の無駄・無意味な労力の消費であった。せいぜい少しは整備スキルがあがったという成果があったと思うしかない。

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ジャイロキャノピーは走らせると三輪ならではの楽しさはあるのだが、重量の重さと50ccという非力さのおかげでとにかく遅く、その楽しさをスポイルしてしまっているバイクである。それに整備性の悪さが加わる。そういえばマフラーを外そうとしたときにどうにも正規の方法での外し方がわからず、ブチ切れてボルトを金ノコでぶった切ったことがあった。まあこれはやはり私の方が阿呆で方法がわかっていなかっただけなのだが。ということでヤフオクで数年前よりも相場は上がったとはいえ数万で買えるし買ってみようかという人にはよほどキャノピーに憧れがある人以外はやめとけと言うしかない。特に低年式の状態の良くないものを買うと粗大ゴミになります。実用用途でこれを買うなら50cc限定の場合ヤマハ ギアの屋根つきのものを買った方がいいと思う。またはホンダならキャビーナ50/90か。キャビーナならキャノピーよりは動力性能がよくそれなりにきびきびと走ることができる。やはり古い2stであることを考えるとそんなにはおすすめできないが。原付二種ならPCXかトリシティに社外ルーフが付いたものを買えれば遥かによい。この記事はこれからジャイロキャノピーを買ってみようかと思う人にちょっと待って欲しいという思いで書かれました。あなたのお金と時間は重要です。