真人間を目指すためのログ

その日したこと、観たもの、読んだもの等の記録

(2022/07/16)

ちょっと忘れないうちに書いておきたい。今日は十日町市の文化ホールで上映された映画『瞽女 GOZE』を観にいった。最後の瞽女と呼ばれた故・小林ハルの半生を描いたものである。しかし、信じられない。最初の数分を見ただけでこの映画が芸術としては何も期待できないことがわかるが、しかしこれが2020年の映画なのか? これほど安っぽい映画が出てくるとは。本当に信じられん。少しだけ内容に触れるとテレビドラマ的なチープ極まる演出の連続とだけいっておけば十分に思える。さらに映画の最後のところ母親が自分に対してしたことに感謝するという結論に持ってくるとは。これほど通俗とお涙頂戴ははっきりと悪だと確信させられた作品はなかった。昭和でもこんな映画が作られたことがあったのだろうか。今は令和四年のはずだ。監督は有名な監督ではなく、大商業ベースで作られた作品ではない。それならば、そうであるのなら、なぜこんな映画が作られたのか? 絶望である。この映画を見て違和感を持たない人が大多数だとするならそりゃ政治なんて変わるはずがないわと思わさせられるくらいのものだ。聲の形と双璧をなすような絶望の映画体験になってしまった。いやあんなふうに怒っているわけではないが、単に呆れてしまった。たしかに通俗は通俗でその価値を認める必要があるかもしれない。だがこれに関しては映画の存在が倫理的に間違っている気さえするものである。
小林ハルという名前は聞いたことがあったような気がする。2005年に他界している。私が生まれたときにはもちろんまだ生きていた。関連の本が何冊か出ている。とにかく……その半生が書かれた本を読まなければならないようだ。