真人間を目指すためのログ

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映画『ドライブ・マイ・カー』感想

村上春樹原作の映画『ドライブ・マイ・カー』行ってきた。去年の夏にはもう公開していたものらしい。監督はあの『寝ても覚めても』の濱口竜介ということで、3時間の長尺だしあとで家で観るよりも映画館で集中して観ておこうくらいの感じで期待しないで行ったんだけど、思ったよりよかった。以下まともな感想は期待するな。

冒頭からこれは村上春樹濱口竜介のキモさが合成された映画なのかと早くも来たことを後悔する。これたしか村上春樹の他の短編の話だったような……

『ワーニャ伯父さん』が長い。

途中のあの展開からこの映画はそういうことをやるのかと笑ってしまった。あいつは『ダンス・ダンス・ダンス』の五反田くんなのか! あの展開は唐突に思えるかもしれないけど、村上春樹の読者なら受け止めてもらえるという信頼のもと作られている。

北海道行き。海沿いにスノーシェッドの続くどこかで見たことのある風景かと思ったらこれ親不知・子不知だ! それになんとホームセンターコメリの外観が! あと田んぼのバックに高速道路のある風景、これは明らかに新潟の風景だ! ここから映画への評価が爆上がりする。どうやら広島から北陸さらに上越まで下道で走り上越高田インターからやっと高速道路に乗り、新潟市まで行ってそこから新日本海フェリーで北海道の小樽に向かったということらしい。ツイッターで検索して出てきた写真と照らし合わせるとコメリのロケ地はどうやらコメリハード&グリーン 上越国分店のようである。北海道に行くなら舞鶴からフェリーに乗った方が明らかに近いんだけど、作品のテーマ的にも親不知・子不知を走らせたかったということなのだろう。とにかく、広島から新潟の上越まで下道で行くとはみさきの運転能力は驚きである。googleマップによると16 時間 44 分(767 km)で、実際に一日で運転しようとするとたぶん死ぬ。

北海道のロケ地は赤平市らしい。

夏井いつき先生風に言うと、この映画の評価のポイントは最後みさきに家福への言葉を言わせたことの是非です(いや別にそういうわけではないが)。原作だとなぜ妻は他の俳優たちと寝たのかという問いに対し、みさきに「女の人にはそういうところがあるんです」という女性一般に即した回答が与えられるが、映画ではそれが奥さんのすべてだったというようなことが言われ、一般性から個別性へと投げ返される。これは短編ではない長編の映画でないとできないことでしょう。ただ村上春樹の小説ではなぜ妻があんなことをしてしまったのかというのはずっとテーマになっているもので、流産による精神的ショックや妻の演技性という回答では十分ではないと思われたのか、それが女の人にはそういったところがあるという一般性に繋げて理解されなければならない何かがあるとは思うので、村上春樹の原作の落ちが悪いというわけでもない。と私は思う。

書き忘れていたが#2021年映画ベスト10

1 ノマドランド

以上です。あれはよい一人称映画だった。