前回からの続き。
最凶酷道として名高い国道418のなかでも特に有名な廃道区間を含む、八百津町の丸山ダム付近から恵那市の笠置ダム付近まで徒歩で渡り切ろうという計画である。廃道区間の町道十日神楽線交差点と笠置ダム先の二か所にバリケードが設置されており(設置されたのはここ10年の間のことなのだが)、本格的なバリケードが設置される前はここを原付で走破した方々もいる(酷道で有名なよごれん氏のチーム)。だが現在は特に笠置ダム側のバリケードが強固なため、踏破は徒歩でないと厳しい。
国道418の詳細についてはネットで多くの記事が書かれているためそちらを読んでいただくこととして、ここでは写真中心にお送りすることにする。
可児市の快活で朝起きて外に出たら朝日がいい感じであった。国道248を快走、美濃太田のセブンイレブンで麦茶と食料を買い、軽量化のために不要な荷物は全部スクーターのメットインボックスの中に入れた。他に持っていったものは地面に敷くシートで、これは休憩で寝るときに重要。
美濃太田駅の駐輪場に止め、高山本線の電車に乗る。この方面はICカードが使えないらしく切符を買った。二つ先の駅の中川辺駅で降りる。
ここで降りたのは八百津町のコミュニティバスを待つため。乗るのは潮南・上飯田線で一番早いバスは7:44にやってくるはずだ。なかなか来ないなもしかして今日の運行はないのだろうかと待っていたら来た。バスに乗っていたのは自分ともう一人だけ。八百津町の市街まで去年もバイクで通った国道418を行く、ここは普通の道だ。
八百津町ファミリーセンター前で少しの時間停車する。
その後コミュニティーバスは418を通らず木曽川の右岸の道を進む。コミュニティーバスのためバス停の位置がマップで得られなかったが、だいたいここらへんだろうと見当を付けていた小和沢口バス停で降りた。
ここから出発。
今回の計画は八百津町側の丸山ダム付近から恵那側の笠置ダムまで国道418号線の廃道区間を徒歩で踏破すること。yahoo地図ではいまだに国道となっている。距離19.3km、時間4時間2分となっているが4時間で歩くことはまず無理だ。おそらく6時間~8時間、日没までに帰れればいいという算段だった。
出発。すでに日は暑く登り坂があり舗装路を歩いているだけですでに疲れる。丸山ダム付近は木曽川にごみが多かった。
この道を右に曲がります。
すでに通行止めの看板が置かれていた。
木曽川を見るとすでに秘境感。
めい想の森から降りてこれるらしい。
ここはまだ短いトンネル。
最近の毒物使用による殺人事件ってなんだよ(笑)
遠くに見える丸山ダム
一台バイクが通っただけで、他に通る者はいない。そして歩いていくと、あの橋のところに出た!
旅足川にかかる旅足橋。年季が入りすぎている。まるでファイナルファンタジー5のビッグブリッヂのような威容。旅足川の方を見ると秘境感がすごい。
これは反対方向(西方面)のおにぎり、のはず。
そして歩いていくと……
あの箇所に出た! 神々しさすら感じる……
せっかくなのでおにぎりの前でおにぎりを食べました。
国道の存在を否定されている有名な看板。
いよいよここから廃道区間に突入。
まだ舗装されてますね。
まっすぐ行った道は河川に出ることができるらしく、私が通ったあとすぐに後ろから大きな車が三台くらいやって来た! どうやら木曽川をモーターボートで走るらしい。
物置だろうか。
道が荒れてきた……
この秘境感。
そして、ついに……
二股トンネル(通称:朝鮮トンネル)登場。
ここは心霊スポットとして有名だったところだ。だが恐ろしいのは暗闇で、出口付近がカーブになっているため前方は真っ暗で明かり一つ見えず、完全な暗闇の広い空間がこんなにも恐ろしいものだとは思わなかった。後方には明かりが見えるので、なんども後ろを振り返りながら歩く。そうしないと怖くて進めなかったのだ。
やっと出口について安心。
荒れまくってますね。
なかなか辿り着かない。さすが疲れたのでシートを敷いてしばし横になった。
この日天気は曇りで歩くのにはちょうどよかったのだが、小雨が降って来ていた。
もはや元がまったくわからない看板。
ところどころ舗装路になっている。
こんなふうに落石するのか。
倒木でぐちゃぐちゃ
何かの動物がいた! 鹿だろうか。後ろにももう一匹いる。
ついに五月橋が見えた!
一年前のあの場所へとやって来た。道を塞いでいた倒木と落石はなかったから、撤去されたということになる。今もこの道を林業で使っているのだろうか。
もちろん今回はバリケードを越え、酷道418の更なる奥地へと踏み込む。
未知なる世界へ。
国道は真っ直ぐそのままだが、分かれ道から先ほど見えた五月橋方面へ行かなければならない。もはやこの時点で結構な疲れがあり歩く距離は最小限にしたかったが、五月橋を渡ったあと喫茶いさまつまで行って帰ってくることにした。
五月橋へ下りるのはどの道から行けばいいのか迷ってしまった。ここの左の細い道を行くのが正解。
こんな道バイクじゃ通れんよな……
ついに来た。
こんなふうに壁に打ち付けられている。
岐阜県秘境すぎる……そりゃ君の名はの舞台になるわな。
前に踏み出す。
こういう時は足元を撮るものだと思ってそうした。
橋を渡り切った。
ここを原付は無理すぎる……
もはや倒壊間近なんじゃないかという喫茶いさまつ。
遠くに見える五月橋。
喫茶なので茶で一服して戻ることにした。
どうやって固定してるんだろうやっぱり凄い。
国道418に戻り、ペットボトルに水を汲むと疲れを取るためにまたしばし横になって眠り、それから進む。
対岸に砂浜が見える。
ここは以前ゲートが設置されていた橋だろう。
下方に沢が見える。川のそばまで行ってみようと思ったが、それなりに距離があるのであきらめた。
水をくみ上げる装置がある。
山であんまり見かけない植物。
有名な廃車スポットに来た。
カブではなくヤマハのメイトだった。
もはやアートですね。
先ほどの川からホースが続いている。水を溜めておくのだろうか。
どうやらボーリング調査をしているらしい。
ここにもバリケードが。どこに通じているのだろうか。
まっすぐな道がずっと続く。
ここで大規模な土砂崩れに遭遇。
えぐれてますね。
原型のない標識。
ガードレールと舗装路が見えてきた。終わりが近い感じ。
また大胆な倒木。
またしてもがけ崩れ。近そうに見えるが川まではそれなりに高さがある。
ついに前方に笠置ダムが見えた!
もはや当たり前のようにあるがけ崩れ。てんこ盛りすぎる。
こちら側から車は絶対に入って来れないので、ボーリング調査に車で向かっているとしたら十日神楽線交差点バリケード側から入っている? 確かに地面に轍があった。
振り返って撮影。雨が強く降ってきた。
もうそろそろ終わりかな、と思って歩き続けたら終わりました。
上の部分にもわざわざバリケードを作っているあたり手強い。
ワープしました。
何の廃墟だろう。
さすがに駅まで歩くのはきついので、笠置ダムからタクシーを呼ぶことに決めていた。携帯から迎車を頼んで屋根の下に座って待った。
小和沢口バス停を降りて歩き始めたのがたしか8:30くらいでタクシーを呼んだ時間が15:38になっているから約7時間かかったことになる。
酷道418は2020年現在荒れるに荒れ、特にバリケード区間は到底"走破"できる状態ではなかった、ということがお分かり頂けたと思う。とにかくこれでミッション達成。
武並駅に着く。世間知らずのためタクシーをほとんど使ったことがなくどれくらいの料金なのかを知らず、なぜか割増料金でどんどん上がっていくメーターを見ながら心の中で悲鳴を上げていた。思わずここで降ろしてくださいと言おうかと思った。キャッシュで払う気がせずカードで払いました。結局これから帰りの電車代と合わせてこの苦行をするために5000円以上かかったことになる。金を払ってまでこのようなことをすることが本当の苦行である。
多治見で中央本線から太田線に乗り換え、美濃太田駅に帰って来た。
終わった。ぐるっと一周してきたことになる。
リフレッシュのためにスーパー銭湯に行くことにし、その前にすき家可児下恵土店へ。カレーがやけにうまかった。
可児市の天然温泉 三峰へ。夕暮れどきの道が美しい。
多治見まで行き就寝。奈良編へ続く。