真人間を目指すためのログ

その日したこと、観たもの、読んだもの等の記録

(2022/12/18)

すでに人間を超えてしまっている将棋AIはどこまでいくのだろう。かつて将棋AIが騒がれた際に、100メートル短距離走にて人間が走るより自動車はもっと速く走れるがそれらはまったく別のものだから、将棋にAIが導入されても今まで通り人間同士の対局は存続するということを言う人が多かった。だがこれはAIが将棋の世界に与える影響を考える場合には適切なアナロジーではない。どう考えればいいのだろうか。二人の人間(またはAI)が迷路に入り、入口から出口まで早く出た方を勝ちとする。これは特殊な迷路で、自分と相手の行動によって壁の位置が刻一刻と変わっていくのである。にもかかわらず迷路にはマップがあり、皆それぞれ違ったマップを持っている。このマップは極めて不完全なものだが、AIには人間よりも精巧なマップが搭載されている。単に短距離走で機械と競争する場合と違うのは、人間がAIのマップを見て学ぶようになっている点である。すでに多くのプロ棋士は研究にAI使っている。現状はまだAIが示すマップを人間が覚えればいいだけのゲームにはなっていないが、将来はわからない。有限のゲームである限り、将棋が完全解析される日はいつかは来てしまうのだろう。たしかにあらゆる局面を解析しつくすのだとしたらその数は大変に多いが、なかにはまったく無駄な手があり、例えば駒が一歩ずれるだけといった意味のない手はいくつも存在する。そのためすべての盤面を考慮する必要はないのではないか。もし完全解析されたとしたら将棋はただの記憶ゲー・覚えゲーになり、極めて味気のないゲームになってしまう。それでも人は将棋を続けるかもしれないが、探究は一切なくなり単に記憶力と体力の勝負になる。羽生九段は将棋が完全解析された場合駒の動かし方のルールを少しだけ変えればいいと言っているが、それもいずれはAIに解析されてしまうだろう。ではどうすればいいのか。将棋にランダム性を導入すればいいのである。例えば歩が相手の歩を取る場合10パーセントの確率でブロッキングが発生し、逆に自分の駒が相手の駒になってしまう笑。駒の力の差が考慮されて確率が変わるとか、また駒が取られるときに他の持ち駒を犠牲にできるといったルールも考えられる。ランダム性により格闘ゲームや競技ゲームではないが、今の将棋とは違った独特な「読みあい」が発生するようになる。案外悪くないのではないか。今のうちから誰か試験的に初めてほしい気もする。