真人間を目指すためのログ

その日したこと、観たもの、読んだもの等の記録

(2020/07/21)

京都アニメーションの作品はテレビアニメのなかで一番多く見ていたはずでPAワークスもそれなりには見ていたがおそらく京アニのほうが多いだろう。京アニ事件のあとに書かれたnoteを読み記事内に二次創作とあったが京アニの作品自体が二次創作的というか、それは原作改変と言われることもあるが私はまさにそこが好きだったのである。原作改変というと少しネガティブな意味合いが入ってしまうが京アニはそれを演出でやるのが上手く、原作を元にしてまったく別の作品に作り上げてしまうのだ。それは前に書いたが『聲の形』のように思わず怒りに駆られてしまう作品もあったが*1、私が特に好きなのは『ハルヒ』『らきすた』『氷菓』で、たとえば氷菓は原作小説において恋愛描写はまったくといってないところをラブコメにしてしまったのだがそれだけではなく、あれは演出がよくて思い出せるところで例をあげると愚者のエンドロール編の入須と喫茶店での会合における光の効果や、最終話の「遠回りする雛」での生き雛の行列それに最後の場面の桜が舞うところなど小説ではさらりと触れられた部分がいかにも美麗なアニメーションの効果で演出されるのである。原作の古典部はまだ続いているがアニメはそれまでラブコメをやって来たうえであれが最終話になったことを考えるとなかなかに残酷で、しかし残酷な美しさがある。そうした卓越した演出の例は他にいくつもあげることができるだろうし、それも下請けで積み上げてきた上の安定したクオリティの作画があってこそで他のスタジオではなかなかなし得なかったことなのかもしれない。

 

日曜日は夕方になってから出かけた。村上春樹の新刊が出たことを知ったのでツタヤでブルーレイを借りるついでに探したがそこにはなく、ちょっと遠いツタヤまで行くことにした。久しぶりに乗った250スクーターは晴れていたこともありまったりな走り心地で快適すぎ、チューンしていることもありやはりこれで十分だなという気になる。同じヤマハのスポーツスクーターであるTMAXは大型の貫録があり確かにいいだろうがしかし排気量が上になってもトランクスペースは減り変速はなくなり足つきと燃費は悪くなるとすべてがよくなるわけではないのである。書店について見たところ村上春樹の新刊は短編集ということもありあまり長くはなさそうだったので春樹サンには申し訳ないがその場で読んで帰ることにした。腹が減っていたので歩いてすぐのスーパーまで行き、フジパンの黒コッペ(105円)を買って休憩コーナーで食べ、それから書店に戻り併設のタリーズにて飲み物一杯で村上春樹の新刊を読む、これが「新しい生活様式」やぞ*2。さて新刊の『一人称単数』だが村上春樹川上未映子のインタビュー本で三人称を通過したあと新しい一人称で書くことがあるかもしれないというようなことを言っていたのでその通りになったのかなと思ったが、読んでみたらだいたい今までの村上春樹だった。午後八時になると周りには誰もいなくなりすでにカフェの閉店時間になっていたが、読み終わり本のページを閉じるといい時間をすごしたなという思いで帰った。

*1:だいたいが植野直花のせいだがあの作品はむしろ中立的でニュートラルな視点で描いたのが問題だと思っている。

*2:もっと金さえ配られればこんなふうにケチケチしないですむのである。